結論:管理職の求人は、AIが手伝いやすい作業が最も少ない
求人8,576件のうち、管理職の役割が書かれた求人は2,810件でした。この2,810件のなかで「生成・定型の作業」が占める比率は14.5%です。
比べてみます。未経験可の求人2,183件では34.4%。経験者向けの求人6,393件では20.8%。3つのなかで管理職がいちばん低い数字です。
代替耐性スコアも80.6でした。(代替耐性スコア=この記事の独自指標。仕事の中身が「人が担う仕事」寄りか「AIが手伝いやすい仕事」寄りかを0〜100で表したもの。50がまん中)
提示年収の中央値は700万円です。これは求人票に書かれた金額です。実際にもらえる額ではありません。
ただ、この数字は「安全」という意味ではありません。いまの求人票の書かれ方がこうだ、というだけです。
本当の問題は、若手が育つ階段のほう
管理職にとっての課題は、自分の仕事より部下の育て方にあります。
これまで若手に最初に任せてきた作業を見てみます。求人8,576件のうち、その作業が書かれている件数です。
| 作業 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 資料作成 | 637件 | 7.4% |
| テスト実施 | 302件 | 3.5% |
| データ入力・集計 | 196件 | 2.3% |
一方で「マネジメント・育成」は2,791件(32.5%)に書かれています。求める側は育成を強く求めています。けれど、育成の入口になる作業は、求人票にあまり書かれていません。
大事な注意です。この数字は「減った」という意味ではありません。1つの時点を数えただけなので、増減は分かりません。「いまの求人票ではこう書かれている」だけです。
それでも、任せる階段の一段目が細く見えることは、育成を考えるうえで無視できません。
打ち手①:AIで生まれた新しい作業を、若手に渡す
日本の労働者への調査に手がかりがあります。
JILPTの調査(2025年公表、日本、AIを使っている人1,854人の自己申告)では、42.1%が「新しい作業が生まれた」と答えました。同じ調査で58.6%が「作業が自動で処理されるようになった」とも答えています。
つまり、作業は減る方向と生まれる方向の両方が同時に起きています。これは自己申告の調査です。差し引きで仕事が減ったかどうかは、この数字からは分かりません。
ここが打ち手になります。AIを使うことで新しく生まれた作業を、若手に割り当てるという考え方です。
たとえばこんな作業です。
- AIが出した案を確認し、間違いを見つける
- AIに渡す前に、前提や条件を整理する
- AIの出力を、社内のルールや過去の事例と突き合わせる
- どこまでAIに任せてよいかの線引きを、記録に残す
どれも、判断の理由を言葉にする練習になります。昔の「資料作成」が担っていた役割に近いものです。
打ち手②:求人票に、両方の作業を書く
採用する側としても、書き方で差がつきます。
「AIを使う作業」と「人が担う作業」の両方を書いている求人は、8,576件のうち1,408件(16.4%)しかありませんでした。
そしてこの1,408件は、提示年収が12.3%高くなっています。職種・地域・経験年数などの条件をそろえて比べた結果です。数え方のばらつきを考えると10.5〜14.1%の範囲です。
注意してほしいことがあります。これは「AIを書けば年収が上がる」という意味ではありません。両方を書いている求人が、条件をそろえても高い年収を提示している、という関係です。理由までは分かりません。
それでも、書いている求人が6件に1件しかない以上、両方を書くこと自体が、採用の競争力になりうる状態です。
あなた自身のこともある
管理職本人の数字も見ておきます。
「AIを使う作業と人が担う作業の両方が書かれている求人」の割合は、管理職では18.1%でした。プロジェクトマネージャー・PdM(249件)では27.3%です。
提示年収の中央値も比べてみます。
| 区分 | 件数 | 提示年収の中央値 |
|---|---|---|
| 管理職シグナルあり | 2,810件 | 700万円 |
| プロジェクトマネージャー・PdM | 249件 | 800万円 |
| ITコンサルタント | 76件 | 862万円 ※参考値 |
管理職は代替耐性スコアが高い一方で、AIを使う仕事との組み合わせは、まだあまり書かれていません。部下の育成だけでなく、自分の役割の書き方も見直す余地があります。
社内で差が開く、という声
もう1つ、気になる調査があります。
帝国データバンクの調査(2026年3月、日本、10,312社が回答した企業への意識調査)では、生成AIを活用している企業のうち18.8%が「使いこなせる社員とそうでない社員の格差が広がった」と答えました。
これは企業の実感であり、実際に測った差ではありません。それでも、チームのなかで差が開きやすい局面であることは意識しておきたいところです。
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このデータについて
type.jp・Greenに2026年7月27日時点で載っていた求人8,576件を数えたものです。
東京の求人が70.0%を占め、IT・Web業界にかたよっています。日本全体の平均ではありません。
1つの時点を切り取った数字なので、「増えた」「減った」は分かりません。
求人票に書かれた内容を機械的に分類しており、分類の誤りは全体で34.0%と見積もっています。
数え方と、このデータで言えないことは数え方のページにまとめています。