結論:実装が中心の求人ほど、AIが手伝いやすい作業が多い
先に答えを書きます。実装・詳細設計・テストが業務欄の中心を占める職種ほど、「AIが手伝いやすい作業」の割合が高く出ています。
私たちは求人8,576件の業務欄を1行ずつ機械的に分類しました。全体では、AIが手伝いやすい作業(生成・定型)は23.5%です。残りはAIを使う側の仕事が12.7%、人が担う仕事が63.8%でした。
これは求人票の書き方を数えたものです。仕事が実際になくなるかどうかを測ったものではありません。
職種別に見ると、差はかなり大きい
下の「代替耐性スコア」は、この記事の独自指標です。仕事の中身が「人が担う仕事」寄りか「AIが手伝いやすい仕事」寄りかを0〜100で表したもので、50がまん中です。数字が低いほど、業務欄が実装寄りだったという意味です。
| 職種 | 件数 | AIが手伝いやすい作業 | 代替耐性スコア | 年収中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 組み込み・制御 | 59件 | 66.0% | 30.5 | 626万円 |
| モバイルアプリ | 82件 | 54.1% | 37.4 | 650万円 |
| フロントエンド | 80件 | 52.1% | 38.8 | 671万円 |
| SE・システムエンジニア | 903件 | 45.8% | 47.3 | 600万円 |
| バックエンド | 303件 | 30.5% | 61.2 | 775万円 |
| 全体(8,576件) | 8,576件 | 23.5% | 70.1 | 625万円 |
同じ「エンジニア」でも、業務欄の書かれ方はかなり違います。件数の少ない職種は、数え方のばらつきも大きい点にご注意ください。
なお、ここでの年収は求人票に書かれた提示年収です。実際にもらえる額ではありません。
ただし、求人そのものが消えているわけではありません
ここは分けて考えてください。作業の中身と、求人の数は別の話です。
米国Indeedが自社サイトの求人を数えた実測(2026年7月8日公表)では、ソフトウェア開発の求人は2025年2月下旬から2026年5月にかけて約15%増えました。同じ期間、求人全体は7%減っています。ただし2020年2月の水準は、まだ27.5%下回ったままです。
増えた中身にも偏りがあります。2025年5月から2026年5月の増加分のうち、71%は上位(シニア)の職でした。37%は職種名にAIが入る求人です。
これは米国のデータで、日本の数値ではありません。増えた原因がAIだとも示されていません。時期が重なっているだけです。
打ち手は3方向あります
1. 上流に寄せる
要件定義・ヒアリングは、8,576件中2,771件(32.3%)の求人の業務欄に書かれています。人が担う仕事のなかでも登場回数が多い作業です。技術選定も同じ方向にあります。
2. 横に広げる
品質保証・レビューは1,084件(12.6%)、運用・障害対応は924件(10.8%)に登場します。件数は要件定義より少ないですが、実装の近くにいながら移りやすい領域です。
3. AI側に回る
求人票が求めているスキル別に見ると、こうなっています。
- データ基盤:301件、年収中央値800万円
- MLOps:72件、950万円
- 生成AI/LLM:1,470件、718万円
MLOpsは提示年収が高い一方、72件しかありません。生成AI/LLMは1,470件と多く、718万円です。件数と年収は逆に動きます。
関連して、業務欄にAI活用・自動化の作業が書かれている求人(1,804件)は、職種・地域・経験年数などの条件をそろえて比べると、提示年収が12.0%高く出ます(数え方のばらつきを考えると+10.3〜+13.7%の範囲)。
ただしこれは「AIスキルを身につければ年収が上がる」という意味ではありません。そういう求人の提示年収が高い、という関係が見えるだけです。
職種を変えること自体は、答えではありません
AI・データ職に移れば安全、という話ではありません。AI・データ職301件の代替耐性スコアは57.2で、それ以外の職種8,275件の70.9より低く出ています。ただしこのスコアは「AIを使う作業」を計算に入れない作りなので、AI活用の多い職種は自動的にまん中(50)へ寄ります。「代替されやすい」という意味ではありません。詳しくはデータサイエンティストの将来性をご覧ください。
この点はAI・データ職の記事で詳しく書きました。
このデータについて
type.jp・Greenに2026年7月27日時点で載っていた求人8,576件を数えたものです。
東京の求人が70.0%を占め、IT・Web業界にかたよっています。日本全体の平均ではありません。
1つの時点を切り取った数字なので、「増えた」「減った」は分かりません。
求人票に書かれた内容を機械的に分類しており、分類の誤りは全体で34.0%と見積もっています。
数え方と、このデータで言えないことは数え方のページにまとめています。