結論:いま言えるのは3つだけです
先に答えを書きます。
1. 職業がまるごと消えた証拠は、日本にありません。国内でほぼ唯一の現場調査があります。JILPT資料シリーズNo.299(2026年/日本/生成AIを全社に入れた2社への聞き取り調査)です。この報告書は、雇用と賃金の変化を「不明」と結論しています。「変化がなかった」ではありません。「分からない」です。
2. いまの求人では、8,576件のうち21.0%が業務内容にAI活用の作業を書いています。数え方のばらつきを考えると、20.2〜21.9%の範囲です。
3. 違いは職種名ではなく、担当する作業の中身に出ます。
「職業」と「作業」は別のものです
求人票は、上下2つに分かれています。上に職種名、下に業務内容の箇条書きです。
同じ「営業」という看板でも、下の中身は求人ごとに違います。ある求人は「提案資料の作成」と書きます。別の求人は「顧客との条件交渉」と書きます。この1行ずつが「作業」です。
今回は求人8,576件から、業務内容を91,868行取り出しました。うち分類できたのは32,224行(35.1%)です。読むべきは職種名ではなく、この行のほうです。
求人の作業は3つに分かれます
分類できた32,224行の内訳です。
| 種類 | どんな作業か | 割合 |
|---|---|---|
| A 生成・定型 | 資料作成、データ入力、実装、テストなど | 23.5% |
| B AI活用 | 生成AIの活用、自動化の推進、機械学習開発など | 12.7% |
| C 人間に残る | 提案、交渉、育成、要件定義、責任判断など | 63.8% |
Aは「AIが手伝いやすい作業」です。Cは「いまのところ人が担う作業」です。
ただし短い記述は読み取りにくく、取りこぼしがあります。読み取れなかった行の分を見込んで計算し直すと、Aは32.4%、Cは57.5%になります。Cはこの表より少なめだと考えてください。
3つのものさしを使っています
この記事だけで使う数え方が3つあります。計算方法はすべて公開しています。
- JTI 21.0%(幅20.2〜21.9%):業務内容にAI活用の作業が1つ以上書かれている求人の割合です(8,576件中)。
- ACI 16.4%:AI活用の作業と、責任をともなう作業の両方が書かれている求人の割合です(8,576件中)。AIを使いつつ判断は人が持つ形です。
- 代替耐性スコア 70.1(幅69.4〜70.9):仕事の中身が「人が担う作業」寄りか「AIが手伝いやすい作業」寄りかを、0〜100で表したものです。50がまん中で、高いほど人寄りです。
年収の話を1つだけ
業務内容にAI活用の作業を書いている求人は、提示年収が高めです。職種・地域・経験年数などの条件をそろえて比べると、12.0%高くなります(幅+10.3〜+13.7%、該当1,804件)。
ただしこれは求人票に書かれた提示年収です。実際にもらえる額ではありません。
また「AIスキルを身につければ年収が上がる」という意味でもありません。そう書いている求人の年収が高い、というだけです。参考までに、全体の年収中央値は625万円でした(8,576件)。
あなたはどれ?ここから読み進めてください
- 自分の作業がどれくらい手伝われやすいか知りたい → AIに手伝われやすい作業が多い仕事
- 人が担う作業が多い求人を知りたい → AIに置き換わりにくい仕事
- 年収の差を確かめたい → AIスキルと提示年収
- 未経験から入りたい → 未経験可の求人とAI
- エンジニアとして働いている → エンジニアの仕事の中身
- 営業・企画・管理部門で働いている → 事務・営業の仕事の中身
- データ・AI関連の職種にいる → データサイエンティストの求人
- 人を育てる立場・管理職である → 管理職とチームの仕事
- ニュースの数字の読み方を知りたい → AIと雇用のニュースの読み方
この数字で言えないこと
- 1つの時点を数えただけです。「増えた」「減った」は言えません。
- 求人票に書かれた文章を数えています。実際の仕事の中身そのものではありません。
- 「必ず消える仕事」も「絶対に安全な仕事」も、このデータからは分かりません。
- 東京とIT・Web業界にかたよっています。日本全体の平均ではありません。
このデータについて
type.jp・Greenに2026年7月27日時点で載っていた求人8,576件を数えたものです。
東京の求人が70.0%を占め、IT・Web業界にかたよっています。日本全体の平均ではありません。
1つの時点を切り取った数字なので、「増えた」「減った」は分かりません。
求人票に書かれた内容を機械的に分類しており、分類の誤りは全体で34.0%と見積もっています。
数え方と、このデータで言えないことは数え方のページにまとめています。